カラフル/森絵都

読書記録

感想を書きたいわけでも、書評をしたいわけでもない。

ただ、読んだという事実を記録しておきたい。

でなければ、私自身すら読んだことを信じられなくなる。

さて、どうでもいい前置きは置いておき、軽く感想をしたためておこう。

森絵都さんの本を読むのは初めてだ。

カラフルは表紙が末期色、いや真っ黄色の可愛らしい見た目をしている。

本書のメッセージとして、私は一言でこう捉えた。

もっと気楽に生きてみろよ。そう訴えかけられた。

それだけ書くと、月並みな内容に思うかもしれないが、それは私の感受性、あるいは語彙力、表現力の無さによってそう思われるのであって、この本がつまらないという事では決してない。

面白かったし、感動した。

ここに出てくるキャラクターを好きにもなれた。

プラプラってなんだよ、変な名前。

対して、主人公の名前は小林真。至極普通だ。

面白い。

人生捨てたものだが、捨てたもんじゃないと思えたり思えなかったり。

今から書く内容は盛大にネタバレになるが、それこそ私が読了した証でもある。

私は死んだらしい、それも罪を犯し、輪廻転生のサイクルからも外されたけがれた魂である。

ありがた迷惑な事に、再挑戦の機会が与えられた。もうすぐ死ぬ他人がいる。小林真というらしい。そいつが死んだら、その体に入り、代わりに一定の期間生きるというもので、この時の人生に対するふるまいが魂のレベルというものを上げるらしい。あるレベルまで上げると、前世での罪を思い出し、再挑戦は成功となり、その体からは離れてもう一度死ぬ事にはなるが、輪廻転生のサイクルに戻れるという事らしい。

所が実のところ、再挑戦の為に利用するだけの他人だと思っていたその体こそが自分自身であったと思い出す。

自分は自殺をしたのだという記憶とともに。

借り物の体として入り込んだ小林真という男の子は、どうやら自殺を試み、成功したらしい。一度死亡したことを医者に確認されたが、私という魂が代わりに入り込んだことで奇跡的に生き返ったと周りに驚かれるという所から、再挑戦はスタートする。

自殺をした男の子の代りに、自殺が未遂になったと信じる家族や学校の同級生との交流をする事になる。その過程でこの自殺した男の子は早まったのではと思うようになる。そして、それが自分自身だと気付く。

再挑戦は成功となり、自殺未遂をしたという自分自身をこれから生きてくことになる。

それでも、生きていくのが不安だと私は思った。

そこで、天使プラプラが言うのだ。

また気持ちが縮こまりそうになったら、再挑戦の期間を思い出せと。

その期間私は所詮代わりの命だと思い、自分で自分を縛らず、自由に動いていた。

その感覚を思い出せばいいと言う。

それは、少しだけ読者である僕の心を軽くしてくれた。

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