ビアードパパのシュークリームは最高だ。
空は学校の帰り、1週間に1度はビアードパパに寄る。
今日は金曜日。1週間学校を休まなかったご褒美だとか適当な理由をつけて、友達の陸と一緒にシュークリームを買いに来た。
クッキーシューのカスタードがシンプルに好きだけれど、期間限定メニューが頻繁に変わるので新しものに目がない私は、いつも味の違うシュークリームを食べているような気がする。
毎週のように通っているので、店員さんともすっかり顔なじみだ。
いつものように保冷剤を入れてもらい、帰路についた。
私たちは食べ歩きなんてはしたないマネはしない、家の近所の公園のベンチに座り、上品に頂く。
その道すがら、空はふと思い出して陸に尋ねた。
「陸はコロナのワクチン打った?」
「1回目はね、2回目は来週の予定だよ。」
「2回目やばいよ~。超高熱でるから。」
「高熱でもやばいのに、超がつくの?笑」
「今のうちに余裕ぶってなよ。絶対、悶絶させてやる!」
「なんであんたが私を悶絶させるのよ。」
空はすでに2回目の接種を経験していた。
副作用がずいぶんしんどかったらしく、同じ思いを陸にもさせたいらしい。
「空は2回目の接種の後、高熱が出たのよね。解熱剤とか飲んだの?」
「んにゃ、気合で直したぜ。」
「気合って。薬は飲まない方がいいのかな、薬の副作用なわけだし。」
「知らんけど、私がお見舞いにコレもって行ってあげるから、大丈夫だよ。」
そう言って空は、シュークリームの入った袋を掲げた。
「今言われたら嬉しいけれど、高熱が出ている人に、シュークリームはどうかと思うよ。それに申し訳ないよ。」
「ちがうちがう。こっち。」
そう言って、袋から保冷剤を取り出した。
「保冷剤かよ!要らんわ」
「なにー!熱には冷たいものでしょ!私の無償の愛を無下にする気か!」
「何が無償の愛よ。無料の愛を無償でもらっても嬉しくないわよ。そんなゴミもらったら高熱も超高熱になるわよ。」
「ゴミは言い過ぎでしょ!もう怒った!
来週のお見舞い用のお小遣いは同人誌に使う!私の推しがメインの本が出たんだ~。尊き。」
「そうしなさい。あんた、腐女子している時が一番幸せそうよ。」
いつも通りたわいもない話をしているうちに二人は公園に到着し、いつものベンチに腰掛けていた。
空はバニラヨーグルトクリームシューを袋から取り出し、腐女子している時の次に幸せそうな顔で、ガブリと一口、頬にクリームをつけながら期間限定の味を堪能した。
使用必須ワード「保冷剤」,「腐女子」,「無償の愛」
とりあえず、会話をさせることに成功した。
会話は一人称の文章よりも方向性、ゴールを決めて書かないと収拾がつかなくなると感じた。会話というのは方向性を意識しなくとも書けてしまい、どんどん思いもよらない方向に進んでしまう。キャラクターのイメージが定まっていないと、話し方の区別が難しく、どちらがしゃべっているかもわかりにくくなってしまうと思った。
と、真面目に分析しているようだけれど、これは言い換えると、「文章の出来はともかく書くのが面白かった」ということになる。
書くのは面白い。書くのが好きだ。出来は二の次、もちろんうまくもなりたいが。
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