科学史について興味を持ち、分かりやすそうな本を求めて本屋に行く。
良さそうな本を手に取り最初の数ページを眺めるという作業を数冊行うと、どの本にも太古の人々の空への興味関心について書かれている事が分かる。
その関心は現代まで衰える事はなく、今日まで技術がどんなに発展しあらゆることが分かっても、その興味はとどまることを知らないようである。
教育が行きわたり、情報社会となり、あらゆる知識が文字や映像で共有されるようになった現代だが、それだけで満足出来ず、大枚はたき、知識として当たり前の光景をこの目で見んと欲する阿呆がここにいました。
どうせ阿呆をするならば、知られぬ阿呆より、知られる阿呆の方がよろしい。
しかし、臆病を司るこの魂は知られる事をことに恐れる。
そこで知られるかもしれないというごくごくわずかな可能性として、ここに書くことで自分を許すものであります。
この望遠鏡を家から持ち出し、河原に向かって歩いている時は人の目が気になりました。たとえ、馬鹿にされてもやめる気はさらさらありませんでしたが、気になりました。
この望遠鏡を外で組み立てている時、肉眼で月をちらちらと見ながら、あれが詳しく見えると思ったらワクワクがとまりませんでした。
その時は月を見ること以外何も考えていませんでした。
月を見ました。
肉眼の117倍の倍率で見ました。
月の1/3くらいがクレーターの陰影とともに、アップされて見えました。
当たり前ですが望遠鏡は固定したままで、接眼レンズを覗きます。
雲のようなゆっくりとした速度ですが、月は明らかに動いているのが見て取れました。
少し放っておくと、すぐにレンズのみえる範囲から逃げて行ってしまいます。
宇宙という空間の中に浮かぶ地球と月、そして地球の上に存在する私が動いているのだという実感が湧いてきて、途方もない遥かな心地になりました。
言葉にすると当たり前すぎて滑稽ですが、初めての天体観測で私が感動した点です。
この、感動を与えてくれた、スペースアイ700/Vixenのスペックを勉強がてら書きましょう。
- 1.商品名/スペースアイ700
- 2.メーカー/Vixen
- 3.対物形式/屈折式・アクロマート
- アクロマートとはレンズの名称で、色収差を補正する機能が付いたものを指します。色収差 というのはレンズを光が通過する際、色によって屈折率が違う為に色ごとに焦点距離が異なり、色のついた円盤状の像が見えてしまう事を言います。この焦点距離を同じにするように設計されたレンズをアクロマートレンズと言います。
- 4.有効径(D)/70mm
- レンズの直径
- 5.焦点距離(L)/700mm
- 焦点距離と有効径の2変数を用いて定義されるのがF値。F=L/D。F値が小さいほど、明るい望遠鏡という事になります。確かにDが大きいほどFは小さくなるし、明るく見えるというのも直観的に分かります。
- 6.集光力/肉眼の100倍
- 7.分解能/1.66秒
- どれだけ細かく見分けられるかです。具体的な説明がむずい。図が必要。ドーズの限界。理解できなくはない。とだけ記録しておこう。
- 8.極限等級/11.0等星
- どれだけ暗い星まで見えるかです。
- 9.サイズ/長さ750mm、鏡筒外径72mm
- 10.鏡筒の重さ/1.2kg
- 11.合焦機構/ラック&ピニオン式
- 12.接眼レンズ/K20mm(35倍・実視界67′)、K6mm(117倍・実視界20′)
- 13.三脚の重さ/2.7kg
- 14.総重量/3.9kg
うん、こんなものでしょう。
凄いですね。数値化による理解とともに、実験、実証、再現性を重視した科学思想の発展のおかげです。
ガリレオ・ガリレイさん、あんたは偉い。
そんな偉人さんも含めて。人間ってちっぽけだ。
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