二回目の天体観測をした。
見たのは月で、前回より月は大きく、明るかった。
準備にかかった時間も大きく短縮でき、スムーズにレンズに月を捉える事が出来た。
それでも、すんなりというわけにはいかない。
やはり月という大きな観測物相手でも、ファインダーを使ってよりスムーズに観測できるようにするべきである。
星を捉えるのは本当に難しいだろうと思う。新月の夜に、星を見てみたい。
と、ここまでが天体観測の感想で、実は面白い事があった。
大学生だろう若いカップルが花火をしようと近くにやってきた。
私は何を思ったのか、いや、それくらい明確に覚えている。
見たことがないより、見たことがあった方がいい。
2万円した、望遠鏡はより多くの人に使われた方がいい。
本気でそう思って、話しかけた。
自分でも驚くほど、緊張しなかった。
月のおかげでしょうか。
「こんばんは、花火楽しそうですね、ご迷惑でなければですが、望遠鏡で月を見てみませんか。」
赤の他人が、急に忍び寄り、深夜にそんなことを言う。
夜でなければ天体観測は出来ないが。
若い兄ちゃんは、気さくな性格で
「望遠鏡っすか?見たことないっす。見ます!」
とノリノリだった。
話しやすそうな方で良かった。
レンズいっぱいに映る程度の20倍に拡大された月を見て、第一声は
「シブい」
だった。私にはその感覚はよくわからなかった。
その語の彼女との会話から察するに、月というものをつるつるの明るくて丸いもの、ウサギの影が見えるくらいの認識でいたから、クレーターによる表面の凸凹を見てしわしわだと感じ、出た言葉が「シブい」だったのだと思う。
彼女の方は「すごい、すごい」と言っていた。
そして、「思っていたより、汚い。」と一蹴。
それはそれで、面白い感想だと思った。
富士山を近くで見れば、ごみの山のように、遠くから見るから良いものもあるだろう。
私は月の表面を見て、むしろその凸凹の現実感に感動したのだが、なるほど、つるつるで綺麗なものという価値観からしたら汚いという事になるかもしれない。
ともあれ、2人とも驚き、面白がってくれた。
正直、面白がってくれなくても、見たことがない人が初めて見るという出来事を生み出せたのが嬉しかった。
その後に見る月や、星空はまた違った感慨を私にもたらしてくれた。
よき天体観測だった。
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