記録/2021.10.27

日記

いやだ。

機械に飲まれてしまう。

僕が機械を作るのではない。

僕は機械の一部として、他の部品との摩擦ですり減っていく。

皆同じだ。強度を失い寿命が来て、それが各所で起こり、全体としての機能が損なわれると、予期せぬ動作をする。

僕は、他とぶつかってへこみ、折れ曲がり、汚れてくすんで、役に立たなくなり、何もできなくなる。

僕は脆い。

メッキは即座に剥がれ落ち、ごく普通の条件下においても、一人錆びれていく。

いやだ。いやだ。いやだ。

世界が壊れていく。

それでも世界は美しいなんて。世界は残酷な風景を見せつける。

夕焼け、夜空、朝焼け、朝日、スカイブルーと入道雲、そして黄昏。

昨日の月は低かった。今日はいない。

星々の鮮烈な時期がくる。寒い。

いつの間にかオリオン座。

虹は現れない。

言葉をくどくど紡いでも思考は曇りがちで、言葉を紡がなくても不足で、どうしようもない。

でも、僕には表情がないから、表情を書かなければならない。

表情を失ったが最後、曇り空の夜。

フクロウのモノマネをする。見えているふりをして生きている。

僕は人間だ、フクロウじゃない。なにも見えない。

僕は何をしているか。

コップの形をしているか。

土器ではいけない。ガラスがいい。プラスチックは毒っぽい。

ガラスの砕けるのは煩いけれど、不思議と心地よさを感じる日もある。

まとまりとは何か。散逸とは悪か。

集めるといいことがあるのか。

何を言っているのか。

そんな日もある。

頼られても、頼られない。頼りになる柱はどこにもない。

バタバタバタ。見せかけの柱に皆、立てかける。

あとは、知らんふり。

バリーン、バリーン、ガシャン、ガシャン。

それを踏んで鮮血と入り混じったガラスが美しい。

なぜ、皆はそんなにたくましいのか。

まったく、平和だ。

僕は、ずるいな。

ところであなたは誰ですか。初めまして。

もしかしてあなたが、救世主ですか。ノーサンキューです。

僕には女神がもういるのです。

とっくの昔に救われて、掬われて、すぐ割れたんです。

ああ、楽しいですね。一緒に踊りませんか。歌いませんか。

楽しいですよ。この体のいいところは楽器であることです。

振動は何より楽しいですよ。一緒に振動しませんか。

楽しいですよ。とっても。

そうですか。そうですよね。そうだと思います。いえ、そうだと思ってました。

確信犯です。そう、ずっと。

確信犯のフリが上手ですね。よく言われます。

よくわかりましたね。え、ばればれでしたか。いや、恥ずかしいものですね。

ええ、とっても。

恥ずかしいというのも、なんだか、懐かしい気がします。

悔恨ですか。いえ、そうではないです。

青春です。スカイブルーです。雨雲です。篠突く雨です。これ、マイブームなんです。

流行ってます。それが、なんだか、懐かしくて、おかしくて、楽しいんですよ。

本当です。流しそうめんをしている気分ですよ。よくわかりましたね、

はい、笑顔で見送るのが通の楽しみ方なんですよ。

そういうものなんですよ。

たくさんたくさん、流れていきます。

はい、よくわかりましたね。情ですよ。あはは。

ああ、懐かしい。懐かしいなあ。

サルベージですか。よしてください。

何も上がって来やしません。法則があるんですよ。

わからないですけどね。とにかく全部、法則なので。

気のいいことです。ええ、本当に。

ありがとうございます。また会いましょう。

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