ろくに考えずひたすらに手を動かしている状態は、実際のところそうではなくても、なにやら物事がすごい勢いで進んでいっているようで、ある種快感を覚えることは確かにある。
焦って追われるように物事をこなしても、達成感がその行為を肯定する。
同じようなことの繰り返しでも、そういうものだという諦めと、それでいいのだという甘えとが混在し、さらには自分自身を肯定する為の作話という人間の能力によって、進歩のないまま、安きに流れていく。
疲労感と達成感と報酬によって、それが安き選択だと気づきもしないで毎日は流れてゆく。
恒常性というやつだ。
惰性。
現状から抜け出せない心理が働いている。
私は、抜け出したい。
激流に乗ることで遠くへ行けるという事もあろうが、私は落ち着きたい。
落ち着いて、遠くを見据えて、ゆっくりと一歩を踏み出したい。
そういう一歩を積み重ねて、自分のリズムの指数関数的な加速感を感じたいのだ。
激流は濁流で、何も見えず、早いけれどもただ一定の速度で進んでゆくから、一度その流れに乗ってしまえば、もう加速を感じることはない。
そんな感じ。
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