「さあ、今週の総合の時間は発表でしたね。みんな”水にまつわる話”は用意してきたかな。」
この学校では算数や社会などの一般科目の他に、”総合の時間”という名前の授業がカリキュラムに用意されていて、その目的とするところは生徒である咲の知るところではなかったが、この時間では面倒な宿題が出されることが多く、咲はこの授業が好きではなかった。
(しまった。先週の授業の時に課題が出されていたんだっけ。すっかり忘れてた。)
実際の所、総合の時間とは名ばかりで、一般的な科目で行われがちな正解のある問題や暗記至上主義な学びの姿勢に危機感を覚えた文科省が、教科書から離れた時事にも関心を持たせようという曖昧な目的のもと行った政策で、カリキュラム上時間だけは確保されつつも、結局授業内容は教師に一任されていた。
「人の文明発祥の地はいずれも大きな川のそばで起こりました。人間は水の恩恵なくして生きてはいけません。そして私たちが住む日本は、海に囲まれた島国で四季があり、梅雨という雨を良く降らせる時期もあり、起伏に富んだ地形から生まれる急流な川など、水とのかかわりは深く、水にまつわる話題というものも多く存在しているはずです。来週のこの時間では、水にまつわる話を1人3分程度で話してもらおうと思います。みなさん、用意してきてくださいね。」
使用必須ワード 「イタイイタイ病」、「多重人格者」、「ウォーターフロント」
今回は挫折した!イタイイタイ病とウォーターフロントから、水に関係する話だなぁと思い、今のような流れになったけれど、設定を語りすぎて、しかも回りくどすぎて、いつまでもキーワードにたどり着けなくなってしまった。その上、多重人格者なんて面白そうなワードを盛り込ませようと思ったら、どう話を持っていけばいいのか全く浮かばず、迷走している分を書いているだけで、時間が溶けていくと思い、心が折れた。やっぱり、全体像、終わりを見据えて構造を作ってから書き始めないといけないと思った。
書ききらないというのは、癖になってしまいそうだ。今後、こういうことが無いように、話の道筋を作ってから一気に書き切るようにしたい。
始めにしっかり考えて、作業時間は本当に作業だけにするのが理想。そして、修正。
時間が無いだろうが、少しでも読み直して修正する癖もつけるようにしたい。
この修正の時間が次につなげる上で一番重要な工程になると思う。
ここまで書いて思ったけれど、仕事と同じようなこと考えているのが皮肉だなと思う。
今回、書き切ることは出来なかったけれど、苦しみながらも、それ以外の一切を忘れて没頭していた。
幸せな時間だったのは間違いない。
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