割れ鍋を塞ぐ

お話

割れ鍋に綴じ蓋。

そんな仕事もある。もちろん私は蓋をする方だ。

一生懸命蓋をした。くさいものに蓋をする思いであった。

仕方がない、鍋を作る立場にない。鍋を作りたいとも、進言していない。

そもそも鍋の作り方も分からない。直し方すらおぼつかぬ有様である。

それでも、なんとか蓋をするのだ。

鍋を欲しがっている人がいるのだから。

今の僕に出来る事は蓋をすることだけだ。

とにもかくにも蓋をした。あらゆる穴を見つけ、塞いだ。

私はいつの間にか、鍋を作れるようになっていた。

鍋を作るのは簡単ではない。しかし、特別難しいわけでもない。

まずは慎重に、割れ鍋をつくらないようにしたい。

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