いやだ。
機械に飲まれてしまう。
僕が機械を作るのではない。
僕は機械の一部として、他の部品との摩擦ですり減っていく。
皆同じだ。強度を失い寿命が来て、それが各所で起こり、全体としての機能が損なわれると、予期せぬ動作をする。
僕は、他とぶつかってへこみ、折れ曲がり、汚れてくすんで、役に立たなくなり、何もできなくなる。
僕は脆い。
メッキは即座に剥がれ落ち、ごく普通の条件下においても、一人錆びれていく。
いやだ。いやだ。いやだ。
世界が壊れていく。
それでも世界は美しいなんて。世界は残酷な風景を見せつける。
夕焼け、夜空、朝焼け、朝日、スカイブルーと入道雲、そして黄昏。
昨日の月は低かった。今日はいない。
星々の鮮烈な時期がくる。寒い。
いつの間にかオリオン座。
虹は現れない。
言葉をくどくど紡いでも思考は曇りがちで、言葉を紡がなくても不足で、どうしようもない。
でも、僕には表情がないから、表情を書かなければならない。
表情を失ったが最後、曇り空の夜。
フクロウのモノマネをする。見えているふりをして生きている。
僕は人間だ、フクロウじゃない。なにも見えない。
僕は何をしているか。
コップの形をしているか。
土器ではいけない。ガラスがいい。プラスチックは毒っぽい。
ガラスの砕けるのは煩いけれど、不思議と心地よさを感じる日もある。
まとまりとは何か。散逸とは悪か。
集めるといいことがあるのか。
何を言っているのか。
そんな日もある。
頼られても、頼られない。頼りになる柱はどこにもない。
バタバタバタ。見せかけの柱に皆、立てかける。
あとは、知らんふり。
バリーン、バリーン、ガシャン、ガシャン。
それを踏んで鮮血と入り混じったガラスが美しい。
なぜ、皆はそんなにたくましいのか。
まったく、平和だ。
僕は、ずるいな。
ところであなたは誰ですか。初めまして。
もしかしてあなたが、救世主ですか。ノーサンキューです。
僕には女神がもういるのです。
とっくの昔に救われて、掬われて、すぐ割れたんです。
ああ、楽しいですね。一緒に踊りませんか。歌いませんか。
楽しいですよ。この体のいいところは楽器であることです。
振動は何より楽しいですよ。一緒に振動しませんか。
楽しいですよ。とっても。
そうですか。そうですよね。そうだと思います。いえ、そうだと思ってました。
確信犯です。そう、ずっと。
確信犯のフリが上手ですね。よく言われます。
よくわかりましたね。え、ばればれでしたか。いや、恥ずかしいものですね。
ええ、とっても。
恥ずかしいというのも、なんだか、懐かしい気がします。
悔恨ですか。いえ、そうではないです。
青春です。スカイブルーです。雨雲です。篠突く雨です。これ、マイブームなんです。
流行ってます。それが、なんだか、懐かしくて、おかしくて、楽しいんですよ。
本当です。流しそうめんをしている気分ですよ。よくわかりましたね、
はい、笑顔で見送るのが通の楽しみ方なんですよ。
そういうものなんですよ。
たくさんたくさん、流れていきます。
はい、よくわかりましたね。情ですよ。あはは。
ああ、懐かしい。懐かしいなあ。
サルベージですか。よしてください。
何も上がって来やしません。法則があるんですよ。
わからないですけどね。とにかく全部、法則なので。
気のいいことです。ええ、本当に。
ありがとうございます。また会いましょう。
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